はえなわ漁(延縄漁)
船の大きさ約50メートル
刺身用を目的として考案された漁法です。
縄(幹縄)に300メートル間隔でウキを付け50メートル間隔の400本~500本の縄(枝縄)にサンマ・イカ・サバをつけた釣り針をマグロ漁場に4~5時間かけて投げ縄し東京から富士山位の距離100キロメートルの延縄仕掛けを流し、タイミングを見て最初に投縄したウキから縄を巻き上げていきます。
マグロを揚げて処理しながらの作業なので回収には投縄の何倍も時間がかかります。
釣られたマグロは船上でエラや内臓を取り血抜きし急速凍結され船内の冷凍庫で保存されます。
マグロは泳いでいないと死んでしまうためストレスがかかると自分の熱(通常約25℃)が10℃以上も上がることがあり身が変質しヤケとよばれる状態になり刺身でたべても美味しくなくなってしまいます。
はえなわ漁法は餌を付けてのいわゆる釣りで餌にかかったマグロのほとんどは生きて船に揚げられます。
この漁法はマグロの赤身を損なわず釣り上げることができるのです。
その後、手早く血抜きやエラ・内臓が抜かれ急速凍結するので細胞が破壊されず赤い色が維持されます。
韓国や台湾など諸外国のマグロ船による延縄漁は日本の技術移転で漁獲し、マグロは日本と同じ処理をされ大半は日本市場に来ています。
はえなわ漁は、マグロが餌のついた針にかかることで釣ります。
釣り針を大きくすることで、まだ小さい稚魚マグロが針に掛からないようにすることができ資源保護にも適した漁法といえます。
まきあみ漁(旋網漁)
船の大きさ約60メートル
アメリカが開発した漁法です。刺身で食べる習慣がない国では主流の漁法で缶詰原料向け漁業が行われてきました。
ステーキやシーチキン缶詰やサンドイッチで食べられます。
マグロ肉の色は赤くなくても関係ありません。
火を通せばマグロは褐色になるからです。
日本では戦後にまきあみ漁法が缶詰や鰹節向けの原料漁獲を目的に導入されました。
現在は、缶詰や鰹節だけでなく技術も向上し鮮度が保持され刺身としても食べられるようになりました。
まきあみ船の網の大きさは約2キロメートル位、深さは200m位です。
魚群を見つけると網で魚群を囲い込み網の下部分を絞り上げ船上にマグロを揚げます。
漁獲されたマグロはブライン液-20℃(冷凍液)という液の入ったタンク(カメともよばれています。)に入れられ冷やされたのち-40℃冷凍庫で保管されます。
まきあみ漁は1000t以上の大型船もあり、まきあみ漁法で小さなマグロも一網打尽で大量のマグロを漁獲します。
これが資源保護からの観点から水産資源の枯渇に問題があるのではとも考えられています。
マグロ類の保護について
大切な資源であるマグロは各組織により管理されています。
マグロ類に関する地域漁業管理機関として、
世界の海は5団体によってルールを守って漁業をしているか審査、管理、監視をしています。
日本は5つすべての団体に属し資源管理に努めています。
・ICCAT
大西洋まぐろ類保存国際委員会
創立:1969年
加盟国数:41カ国・機関
・IATTC
全米熱帯まぐろ類委員会
創立:1950年
加盟国:14カ国
・CCSBT
みなみまぐろ保存委員会
設立:1994年
加盟国:日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国(拡大委員会に台湾、協力的加盟国フィリピン)
・IOTC
インド洋まぐろ類委員会
設立:1994年
加盟国:日本を含む24カ国・機関
・WCPFC
中西部太平洋まぐろ類委員会
設立:2004年
加盟国:日本を含む24カ国・地域・機関
※加盟国数が変わっている可能性があります。(2006年12月当時)